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平成25年1月31日 13:00〜15:00

第13回 からだとこころの健康シリーズ
「認知症の家族を介護して」

    場 所:自治会館「やまびこ」  講師:同志社大学名誉教授 横山卓雄 氏
    参加者:21名  


 当日は、比叡平に春が訪れたかと思えるほどの、暖かく快晴の日になりました。今回は、参加確認もとっておらず、イス・机の配置も少人数の形をとっていたのですが、初参加の方もあり、大変楽しい会となりました。

 まず横山卓雄さんの、認知症(アルツハイマー病)の奥様・康子さんの10年にわたる介護体験をお話していただきました。
深刻になるはずの体験談が、明るく、ユーモラスに語られて楽しく聞かせていただけたのは、横山さんのお人柄によるものでしょう。

@ いつもの本人らしくない言動に、あれ、おかしいと思ったのは10年前。実はもっと前からあったかもしれないが、意識したのは横山さんの祝賀会で、衣類を直す際の不自然な世話の仕方が最初であった

A アナログ時計が読めない、時間の感覚がつかめないということがはっきりして、検査の結果、診断確定する

B アルツハイマー病は、海馬の萎縮などの脳の病気であることまでは判明できているが、治療はまだ確立しておらず、進行を遅らせるだけの薬物療法であることがつらいことだった

C 発病してから歩ける間は、目が離せないのでいつも一緒に連れて行き、大学の講義も教室で聞いてもらい、会議も横にすわらせていた

D 徘徊は頻回にあって、外国で行方不明になったり、買い物中に姿がみえなくなって、2日後に警察から連絡があったり、GPS を付けて、コンピューターで追跡したりさまざまな経験がある

E 落ち着いた作業が出来た時期には、編み物の長い長い輪を作ったこともあった

F 横山さんに対しては、抵抗することもほとんどなかったが、ケアワーカーや身近な友人には、介護への抵抗もあり、時には暴力にも及んだこともある

G 足の悪い横山さんは常に杖を持っているので、外に出る時はいつも康子さんと杖をひもで結んで歩いていた

H 介護保険制度の発足と同時期の発病であり、訪問介護、ディ・サービス、老人保健施設と活用してきた

I 次第に進行して歩けなくなり、施設への全面入所が必要となってきた

J 現在は老人療養病棟の個室に入所して、横山さんは週に一回、お昼を食べさせるために通っている

 介護体験をまとめてお話しするのは初めてということでした。
 自宅で全面介護をしている頃はとても忙しく、介護に夢中であり、身体的には大変だったが、精神的には楽だったということです。
 施設入所後は、体は楽になったが、精神的には、もっと早く気付くことはできなかったのか、これでよかったのかと考えることもあって返ってつらいこともあると話されました。

 発病以来の基本となっていることは、康子さんの病気を隠さないできたということです。
 病気は誰のせいでもないし、説明すればだれもが理解して協力してくれるものだと淡々とおっしゃっています。
 奥さんを「康子さん」と呼び、素晴らしい女性であったと、愛情と尊敬をこめておっしゃっていました。
 お二人の充実した人生が伝わってきて、それが横山さんの10年に及ぶ介護生活を支えていることが実感できるようでした。

 認知症をいたずらに恐れないで、「自分はならないぞ」という楽観論も必要ではないかという横山さんの笑顔に参加者一同うなずくことしきりでした。

 最後に、「山中比叡平は、よいところだと思います。古臭さがなく、住民の力で新しい地域をつくっていけるようですね。」とエールをいただきました。




2013健康シリーズの写真     2013健康シリーズの写真     2013健康シリーズの写真   


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